オキュパイ・ムーブメント(読み)オキュパイムーブメント

百科事典マイペディア の解説

オキュパイ・ムーブメント

アメリカから始まった若者を中心とした反格差運動,反グローバリズム運動。オキュパイ運動,占拠運動とも。2011年9月17日,ニューヨークの旧世界貿易センタービル跡地の近くの公園に,フェイスブックツイッターの呼びかけで集まった若者を中心に始まった運動である。〈ウォール街を占拠せよ〉を合い言葉に,〈1%の金持ち,99%の貧困〉〈富裕層に課税を!貧困層に食べ物を〉をスローガンに掲げた。ノーベル経済学賞受賞者のスティーグリッツなど知識人や有名人が賛同したこともあって,運動はまたたく間に,ロサンゼルスボストンシカゴなど主要都市に拡がった。さらに,ネットを通じた呼びかけで,10月15日には,ロンドン,ローマ,ブリュッセル,マドリード,パリ,アテネメルボルン,東京など100ヵ国・地域,1000都市で同様の運動が起こされ,ローマやマドリードでは小規模ながら暴動様相を呈した。各国で占拠・デモ排除に警官隊が投入され,運動は数週間で沈静化したが,組織の中心を持たず,ネット上の呼びかけで始まる運動であり,格差社会の解消に決め手を欠く先進諸国では常に再燃する可能性がある。運動の思想的な基盤として,カナダジャーナリスト,ナオミ・クラインやカレ・ラースンの主張があるとされている。→反格差社会運動

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