ウリノキ(英語表記)Alangium platanifolium Harms

改訂新版 世界大百科事典 「ウリノキ」の意味・わかりやすい解説

ウリノキ
Alangium platanifolium Harms

温帯の谷すじに多いウリノキ科の落葉低木。葉がウリの葉に似る。高さは時に5mに達する低木。葉は大型で互生し,10cmほどの有毛葉柄と薄質全縁で心円形の葉身を有する。下面は軟毛が多く,葉形は浅く3裂し,先はとがる。初夏,葉腋(ようえき)から出た花序に数個の白色花をつける。萼片は6~8枚,花弁も同数で長さ2.5~3cm,いちじるしく外側に反り返る。実は,先端部がややとがった卵形で長さ8~10mmの核果。日本全域,台湾,朝鮮,中国大陸に分布。屋久島や南西諸島には,葉が3裂しないシマウリノキA.premnifolium Ohwiが生育する。ウリノキ科はウリノキ属のみからなり,約20種が東南アジアを中心に熱帯域に広く分布している。イギリスでは闊大な葉が注意を引き,庭園樹として栽植されている。また根は八角楓根(はつかくふうこん)と呼ばれ漢方薬として利用され,鎮痛麻酔避妊の作用があることが知られている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウリノキ」の意味・わかりやすい解説

ウリノキ
うりのき / 瓜木
[学] Alangium platanifolium (Sieb. et Zucc.) Harms var. trilobum (Miq.) Ohwi

ウリノキ科(APG分類:ミズキ科)の落葉大形低木。高さ約3メートル、材は柔らかい。葉は互生し、掌状の5主脈があり全縁で浅く3~5裂し、基部は心臓形、質は薄紙状。夏、葉腋(ようえき)に白色の6弁花をつけ、花弁は細長く、反転する。雄しべ12本、雌しべ1本、葯(やく)は黄色。萼(がく)は短く、果実扁球(へんきゅう)形。名は、葉形がウリの葉に似ることによる。葉は変異が多い。北海道南部から九州の低山の林中に生え、朝鮮、中国にも分布する。近縁のシナウリノキA. chinense (Lour.) Harmsは中国に分布し、その変種のシマウリノキは九州南端から沖縄に分布する。花が小さく、葉の基部がゆがんでいる点がウリノキと異なる。

[古澤潔夫 2021年3月22日]

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百科事典マイペディア 「ウリノキ」の意味・わかりやすい解説

ウリノキ

ウリノキ科の落葉低木。北海道〜九州,東アジアの山地の谷すじなどにはえる。葉は円心形で浅く掌状に3〜5裂し,長い柄がある。初夏,葉腋に2〜5個の白色花をつける。花弁は6枚,長さ3cmほどの線形で著しく外側に巻き込む。果実は楕円形藍色に熟す。名は葉の形がウリ類を思わせるのでいう。九州南部以南には葉が裂けないシマウリノキが分布する。

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