ウラル山脈(読み)ウラルさんみゃく(英語表記)Ural

翻訳|Ural

精選版 日本国語大辞典 「ウラル山脈」の意味・読み・例文・類語

ウラル‐さんみゃく【ウラル山脈】

ロシア連邦の西部、ヨーロッパアジアとの境界を南北に走る山脈。金、白金など、鉱物資源に富む。

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デジタル大辞泉 「ウラル山脈」の意味・読み・例文・類語

ウラル‐さんみゃく【ウラル山脈】

Ural'skie gorïУральские горыロシア連邦西部を南北に走り、ヨーロッパとアジアとの境界をなす山脈。最高峰は北部にあるナロドナヤ山で標高1894メートル。石炭石油・鉄・金・白金ボーキサイトなど鉱物資源が豊富。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウラル山脈」の意味・わかりやすい解説

ウラル山脈
ウラルさんみゃく
Ural

ロシア西部にあり,東ヨーロッパ平原と西シベリア低地を分ける山脈。北極海のユゴールスキーシャル海峡から南のウラル川河谷まで南北 2500km以上にわたって延びる褶曲山脈で,幅は 40~150km。地質構造的には,北は北極海に浮ぶノーバヤゼムリャーまで,南はムゴジャルイ丘陵まで続く。歴史上,ヨーロッパとアジアの境界とされる。古生代造山運動によって形成された山地が,中生代を通じて浸食されて準平原となったのち,古第三紀に入ってアルプス造山運動により再び隆起したものである。最も著しく隆起したのは北部(北端部を除く)で,ここにナロードナヤ山(1894m),カルピンスキー山(1878m)などの高山がある。中部は,コンジャコフスキーカーメン山(1569m)などがあるが,一般に標高が低く山容も穏やかとなる。南部は数条の山脈からなり幅広く広がるが,再びやや高くなりヤマンタウ山で標高 1640mに達する。大陸性気候であるが,北部と南部,西斜面と東斜面の差が著しい。1月の平均気温は北部で-23~-20℃,南部で-17~-15℃。7月はそれぞれ9~10℃,19~20℃。年降水量は大西洋からの風を受ける西斜面で多く,北部で 1000mmに達するが,東斜面では 250mmまで減少する。森林限界は南部で 1000m,北部で 500mと低下し,北緯 65°付近から北は森林がなくなり,北端部のパイホイ丘陵ツンドラ地帯となる。各種の鉱物資源に富む地域で,石炭,石油,鉄,マンガンニッケルクロム,銅,アルミニウム,金,銀,白金,岩塩,滑石,長石,アスベスト,黒鉛,リン鉱,重晶石,雲母,宝石類などを産する。これらの資源の開発により,中部から南部にかけての山地・山麓一帯はロシア有数の重工業地帯となっている。

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改訂新版 世界大百科事典 「ウラル山脈」の意味・わかりやすい解説

ウラル[山脈]
Ural

ロシア連邦西部,ユーラシア大陸北部に位置する顕著な山脈。歴史的にアジアとヨーロッパとの境界とみなされてきた。ただ,ロシアでは〈ウラル山脈〉ではなく,〈ウラル〉と呼ぶのが通例である。ほぼ東経60°線に沿って南北に,2000km以上にわたって連なる。北は北極海岸に始まり,南はオルスク市とオレンブルグ市を東西に横断するウラル川の線で終わるが,山脈の延長は北方ではノバヤ・ゼムリャ島,南方ではカザフスタン北部の丘陵に続く。ウラル山脈は北から(1)極地ウラル,(2)沿極地ウラル,(3)北部ウラル,(4)中部ウラル,(5)南ウラルに分けられる。最高点は極地ウラルのナーロドナヤ山(1894m)で,この付近の多くの山頂には140条余の氷河が見られる。南部では南ウラルのヤマンタウ(1640m)。南ウラルは5~6条の雁行する山脈からなり,一般に丘陵性で複雑な山系をなしている。さらに南方はカザフ北部山地に移行する。

 ウラルでは鉱物の埋蔵が知られ,旧ソ連全土に埋蔵される重要鉱物55種のうち48種がここで発見されている。銅,マグネサイト,チタン,ニッケル,石炭(チェリャビンスク炭田およびペチョラ),金,白金,ボーキサイト,石油(ボルガ・ウラル油田),天然ガス(オレンブルグ・ガス田),カリ塩など,貴石ではマラカイトなどを豊産する。地図で見るとウラルは大きな山脈の形状を呈するが,ロシアでは,その山頂や分水嶺は地域を分けるなんらかの境界線とはみなされておらず,むしろウラル山脈とその東西両麓を含めて,帯状の〈ウラル経済地域〉(約68万km2)が設定されて,人口も急増している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウラル山脈」の意味・わかりやすい解説

ウラル山脈
うらるさんみゃく
Урал/Ural

ロシア連邦から中央アジアにかけて、東ヨーロッパ平原と西シベリア低地の間に連なる山脈。南北方向に延び、北はカラ海沿岸から南はカザフスタン共和国まで、2500キロメートル以上の長さをもつ。北極海の島ノバヤ・ゼムリャもその北の延長である。200~300キロメートルの幅があり、平均高度は1000メートル前後。最高峰は北部にあるナロードナヤ山で、標高1895メートルである。地質学的には、東側のシベリア卓状地と西側のロシア卓状地との古生代後期か中生代初めにおける衝突によってできたウラル造山帯が、その後の侵食と若干の構造運動によって現在のようになったものである。山容は穏やかで準平原が広がり、高度数百メートル程度の高原状をなしている所が多い。一般に西麓(せいろく)のほうが東麓に比べてなだらかであり、また南部は多くの山脈の集合となっている。年降水量は西麓で600~1000ミリメートル、東麓で350~450ミリメートルである。北部はツンドラ(永久凍土帯)に属し、小規模な氷河も数多くみられるが、中部は針葉樹林帯、南部はステップ(短草草原)となっている。

 多様な地下資源があり、とくに中~南部では石炭、石油、鉄、銅、マンガン、クロム、金、白金、岩塩、ボーキサイトなどが産出し、これらの鉱産資源を利用して重化学工業主体のウラル工業地域が成立している。ウラル山脈は古くからアジアとヨーロッパの境とされてきたが、何本もの鉄道が横断する現在はもとより、歴史的にみてもとくに交通上の障壁となっていたわけではない。

[熊木洋太]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ウラル山脈」の解説

ウラル山脈(ウラルさんみゃく)
Ural

ヨーロッパ・ロシアとシベリアの境界をなす,南北2000km以上の山脈で,昔「石の帯」と称された。石炭,鉄など各種の鉱物資源に富み,第二次世界大戦前後に新しい大工業地帯になった。

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