ウェスト(Dame Rebecca West)(読み)うぇすと(英語表記)Dame Rebecca West

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ウェスト(Dame Rebecca West)
うぇすと
Dame Rebecca West
(1892―1983)

イギリスの女性小説家、批評家。本名Cicely Isabel Fairfield。アイルランド生まれ。H・スペンサーやG・B・ショーを相手に個人主義を過大に擁護する論を張ったことで知られる論客の父チャールズとともにエジンバラに移り、父の早世後もここで育つ。若くして文学と政治についての鋭い発言で注目され、ジャーナリストとしてフェミニズムでも活躍。政治的ジャーナリストとしての力量はジョージ・オーウェルに比較される。H・G・ウェルズの著作を酷評したことがきっかけとなって彼と知り合い、やがて彼と関係して生まれた子が作家のアンソニー・ウェストAnthony West(1914―1987)。1930年には銀行家ヘンリー・アンドリューズHenry Andrewsと結婚した。小説では、精神障害になった兵士を描く『兵士の帰還』(1918)、エドワード朝時代のある一家の運命を描いた『泉はあふれる』(1956)が代表作。多くの批評を書いたが、バルカンの歴史と政治を扱った『黒い小羊と灰色の鷹(たか)』(1941)が有名。ニュルンベルク裁判傍聴して、評論集『反逆罪の意味』(1949)を書いた。フェミニストとして再評価機運にある。

[小野寺健]

『飯島淳秀訳『考える葦』上下(1954・ダヴィッド社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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