アクリル樹脂塗料(読み)アクリルじゅしとりょう(英語表記)acrylic resin coating

改訂新版 世界大百科事典 「アクリル樹脂塗料」の意味・わかりやすい解説

アクリル樹脂塗料 (アクリルじゅしとりょう)
acrylic resin coating

アクリル樹脂を塗膜形成主要素とする塗料。熱硬化型(加熱により化学反応が起こって塗膜が形成される)と揮発乾燥型(溶剤が蒸発するとともに塗膜が形成される)とがあり,後者アクリルラッカーともいわれる。熱硬化型アクリル樹脂塗料は,硬度,耐汚染性,耐薬品性,保色性,耐熱性がアミノ・アルキド樹脂塗料よりすぐれ,自動車上塗用,プレコートメタル(あらかじめ塗装したのち切断加工して製品にする塗装鋼板)用,家庭電器製品用,その他金属製品・食缶にも相当量使用される。揮発乾燥型アクリル樹脂塗料は,無変色性,光沢保持性がニトロセルロースラッカーよりすぐれ,自動車補修用,コンクリート,モルタル面,瓦,石綿スレート,プレキャストコンクリート板等建築物・建材の外装用,バス,トラック,産業用機械等多方面に使用される。

 従来アクリル樹脂を塗料として使用するときは有機溶剤に溶解していたが,現在では,環境浄化の観点から有機溶剤の使用量の減少,水性化,無溶剤型化の技術が適用されている。樹脂を細かい粒子状にして有機溶剤中に分散させると,少量の有機溶剤で粘度が低下し塗装できるようになる。この種の樹脂の形態非水エマルジョンオルガノゾルがある。また有機溶剤を使用せず水を媒体とした樹脂の形態に,水溶性,コロイダルディスパージョン,水性エマルジョンがある。有機溶剤を含まず,塗料すべてが塗膜になるように設計された樹脂形態に,無溶剤溶液型,プラスチゾル,アクリル粉体がある。それぞれについての塗膜形成機構,乾燥条件,代表的な塗料品種を表に示す。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アクリル樹脂塗料」の意味・わかりやすい解説

アクリル樹脂塗料
アクリルじゅしとりょう
acrylic resin coating

アクリル系合成樹脂を材料とした塗料。付着力が大きく耐候性耐食性がすぐれているうえに,仕上げが美麗である。ニトロセルロース,アルキド樹脂,エポキシ化合物などの変性剤により,熱可塑性塗料,熱硬化性塗料,水溶性熱硬化性塗料などの種類がある。おもに自動車,車両トタン,ブリキなどの金属用塗料のほか,プラスチック,電気製品,家具などに利用されている。また真空蒸着用塗料などとしても利用される。

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