アクスム[王国](読み)アクスム[おうこく](英語表記)Aksum; Axum

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アクスム[王国]」の意味・わかりやすい解説

アクスム[王国]
アクスム[おうこく]
Aksum; Axum

初期キリスト教時代にエチオピア北部にあった強大な王国。南アラビアに栄えたサバ王国(シバ王国)のセム系民族が移住して建国したとする説が一般的だったが,現地の土着勢力を起源とするものとみられる。3~6世紀の最盛期にはアフリカ北東部最大の商都となり,商人たちはナイル川を越え,また遠くエジプトアレクサンドリア交易を行なった。9世紀末までに紅海沿岸を支配し,アデン湾からソマリランド(現在のジブチソマリア)北岸のゼイラにまで影響力を及ぼした。
2世紀から 3世紀にかけて交易大国として成長したアクスムは,ヌビアメロエ王国(→メロエ遺跡)を圧倒し,4世紀にこれを滅ぼした。またこの頃,アクスムの王はキリスト教を受け入れ,ビザンチン帝国支配下のエジプトと政治的にも宗教的にも結びつくようになり,南アラビアに勢力を拡張した。6世紀,アクスムはイエメンを服属させたものの,同世紀後半にはペルシア人が南アラビアに侵攻したため駆逐され,さらに 7~8世紀にはアラブ人の侵入により地中海貿易からも退いた。しだいにアクスムの支配権は王国内部のアガウ族 Agau(Agawまたは Agew)に移り,その子孫が 12~13世紀にザグウェ朝 Zagwe dynastyを築き,キリスト教の信仰を受け継いだ。(→エチオピア史

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