はつか

精選版 日本国語大辞典 「はつか」の意味・読み・例文・類語

はつ‐か

〘形動〙 (「はつ」は、「はつはつ」と同語源で、「か」は接尾語)
① 物事のはじめの部分がちらりと現われるさま。かすか。ほのか。特に、視覚や聴覚に感じられる度合の少ないさまを表わす。
※竹取(9C末‐10C初)「海の中にはつかに山見ゆ」
② 少しの時間であるさま。
源氏(1001‐14頃)若菜下「今宵の遊びは長くはあらで、はつかなるほどにと思ひつるを」
③ (「わずか」と混同されて) 分量の少ないさま。ほんの少し。わずか。副詞的にも用いられる。
平家(13C前)四「其勢はつかに十七騎」
[語誌]ハツは、事物の周縁部を意味する語ハタ(端)と母音交替の関係にあるものか。上代にはハツカの例は見出せないが、ハツカと共通の形態素を持ち、意味的にも関連性が認められるハツハツが視覚に関して使用されることが多いという傾向が認められるので、ハツカの原義は、物事の末端を視覚的にとらえたさまを表わすところにあったと推測される。この点で、物事の分量的な少なさを表わすワヅカとの意味上の差異は明確であるが、後世には両語を混同して用いることも多くなる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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