さして

精選版 日本国語大辞典 「さして」の意味・読み・例文・類語

さし‐て

〘副〙 (動詞「さす(指)」の連用形助詞「て」が付いて一語化したもの)
意志行動の対象を明確に指示・限定する態度を表わす語。それと限定して、こうだとはっきりと。
伊勢物語(10C前)三三「こもり江に思ふ心をいかでかは舟さすさほのさして知るべき」
曾我物語(南北朝頃)四「十郎は曾我にさして用の事有りければ」
② (下に打消の語を伴って用いる) それほど特別にはという意味を表わす語。これといって。さほど。あまり。たいして。
源氏(1001‐14頃)賢木「さして思ふ事なきだに聞きすぐしがたげなるに」
[補注]副詞の「さ」に動詞「す」の連用形と助詞「て」が付いてできたものとも意識される。→「さしたる」の語誌

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