デジタル大辞泉
「こっきり」の意味・読み・例文・類語
こっきり
[副]かたい物が突き当たったり折れたりするときの音を表す語。また、そのさま。ぽっきり。
「(飴ノ)青や赤の縞になったのを―噛み折って」〈中勘助・銀の匙〉
[接尾]数詞に付いて、物事がそれだけで終わって、あとが続かない意を表す。ちょうど…だけ。…かぎり。こきり。「一ぺんこっきり」「一度こっきり」
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
こっきり
[1] 〘副〙 (「と」を伴って用いることもある)
① 堅い物が突き当たった時などの音を表わす語。鉢合わせをしたような時の音などに用いる。こっつん。
※滑稽本・七偏人(1857‐63)初「
羽目へコッキリ天窓
(あたま)を打付
(ぶっつけ)た所なんざア」
② 堅い物が折れる時の音を表わす語。ぽっきり。
※銀の匙(1913‐15)〈中勘助〉前「青や赤の縞になったのをこっきり噛み折って」
③ 濃厚なさまを表わす語。こってり。
※
浮世草子・猿源氏色芝居(1718)一「洗ひ粉のひかりこっきりと琢出し」
④ 小さくて、愛らしいさまを表わす語。
※
浄瑠璃・
心中宵庚申(1722)
道中「しかもよいこの、なさけざかりにちょっきりこっきり小にょぼの、腰もしなへてやつくるり」
⑤ 静かなさまを表わす語。ひっそり。
※自然と人生(1900)〈
徳富蘆花〉湘南雑筆「ころころがさと一声木の間に物の落つる音して、あとはこっきり静かになりぬ」
⑥ 残らず。全部。
※卍(1928‐30)〈
谷崎潤一郎〉三二「彼奴かてからくりの種こっきり僕に握られてしもてて」
[2] 〘接尾〙 (「
ごっきり」とも) 数詞などに付いて、ちょうどそれだけ、と限定する意を表わす。かっきり。かぎり。
※浄瑠璃・
神霊矢口渡(1770)四「一番こっきりで義興めを
川中でぐ
はんといはせた其褒美に」
※咄本・今歳咄(1773)
幽霊「おらも
六道銭が有なら、一番ごっきりやっ付ては見たひが」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報