デジタル大辞泉
「はや」の意味・読み・例文・類語
は‐や[連語]
[連語]《係助詞「は」+係助詞「や」》
1 疑問の意に感動を添えた意を表す。…かなあ。
「島伝ふ足速の小舟風守り年―経なむ逢ふとはなしに」〈万・一四〇〇〉
2 (文末にあって)感動・詠嘆を表す。…よ。
「御真木入日子―己が命を盗み死せむと」〈記・中・歌謡〉
「けしうはあらじ―」〈源・葵〉
[補説]「や」を間投助詞とする説もある。2は上代では名詞だけに付き、中古では連体形に付く。
はや[感]
[感]あきれたり、とまどったり、驚いたりしたときに発する語。「なんともはや、あきれた人だ」「いやはや、まったく困った」
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
は‐や
(係助詞「は」と間投助詞「や」の重なったもの)
①
文中の連用語を受け詠嘆を表わす。→補注(1)。
※
古事記(712)中・歌謡「木の間よも い行き目守らひ 戦へば 我波夜
(ハヤ)飢ぬ」
※
万葉(8C後)七・一三九〇「
近江の海波恐
(かしこ)みと風守り年者也
(はヤ)経なむ漕ぐとはなしに」
② 文末に用いられ詠嘆を表わす。→補注(2)(3)。
※古事記(712)中・歌謡「をとめの床の辺に我が置きしつるきの太刀その太刀波夜(ハヤ)」
※平中(965頃)三六「あはれ、さ言へる人のありしはや」
[補注](1)①の挙例「万葉」の「や」を疑問の係助詞とする考え方もある。
(2)文末
用法の「は」「や」をともに
終助詞とする説もある。
(3)上代における②の用法は
体言を受けるもの(すなわち喚体の句)だけで、終止した文を受けるもの(すなわち述体の句)は平安時代になって現われる。
はや
〘感動〙 あきれたり、戸惑ったり、恐縮したり、強く感じ入ったりして発することば。いやはや。
※落語・初夢(1892)〈三代目三遊亭円遊〉「どうも
ハヤ感心しないやうな訳で」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報