SUBARU(株)(読み)すばる(英語表記)SUBARU CORPORATION

日本大百科全書(ニッポニカ) 「SUBARU(株)」の意味・わかりやすい解説

SUBARU(株)
すばる
SUBARU CORPORATION

SUBARUスバル)」ブランドの自動車のほか、航空機などの重工機械メーカー。1917年(大正6)設立の飛行機研究所(のちの中島飛行機)が前身。第二次世界大戦後は長く、富士重工業という社名であったが、創業100周年となる2017年(平成29)4月に、海外でも知名度の高い車のブランド「SUBARU」を社名に採用し「株式会社SUBARU」となった。トヨタ自動車グループに属し、「レガシィ」「インプレッサ」などの自動車を世界で年間約100万台生産している。

 中島飛行機は元海軍大尉の中島知久平(ちくへい)が設立し、旧陸軍の主力戦闘機「隼(はやぶさ)」などを量産したが、第二次世界大戦後、企業再建整備法(昭和21年法律第40号)により12社に分割された。このうち5社(富士工業、富士自動車工業、大宮富士工業、宇都宮車両、東京富士産業)が合併し、1953年(昭和28)に富士重工業として発足。1958年に発売した軽自動車「スバル360」の成功で自動車会社としての地位を確立した。1968年に日産自動車と業務提携、1970年代以降、石油ショックや排気ガス規制などを追い風にアメリカ市場を開拓した。しかしバブル崩壊の影響で経営不振に陥った日産自動車が、保有していた富士重工業株式すべてを2000年(平成12)にゼネラル・モーターズGM)へ売却。富士重工業はGM傘下に入り、当時同グループであったスズキやイタリアのフィアット社などと部品共通化や新車開発に取り組んだ。その後、GMの業績悪化で2005年にトヨタグループ入りし、2012年には軽自動車の生産を終え、トヨタグループのダイハツ工業から軽自動車の供給を受けている。航空機用エンジンを自動車に応用した振動騒音が少ない「水平対向エンジン」や、衝突の危険を感知してブレーキを制御する「アイサイト」システムを開発するなど、技術力には定評がある。航空宇宙部門では、第二次世界大戦後、国産機YS-11の開発に参加。ボーイング社やエアバス社の機体生産を担い、ヘリコプター無人偵察機を防衛省などへ納入している。過去にバス車体、鉄道車両、スクーターオートバイ汎用(はんよう)エンジン、発電機などの生産実績がある。生産拠点は群馬県太田市、同大泉町、栃木県宇都宮市、愛知県半田市やアメリカ、カナダなど。本社所在地は東京都渋谷区恵比寿(えびす)。資本金1537億円(2017年3月末)、売上高3兆3260億円(2017年3月期)。

[矢野 武 2018年5月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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