日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
LCC(low-cost carrier)
えるしーしー
low-cost carrier(ローコストキャリア)の略語。LCCに関しては、法的なものを含めて厳密な定義はないが、一般には格安航空会社のことをさす。LCCは、付帯的サービス(機内サービス、荷物預かりサービス、遅延時の乗継ぎサービスなどの「フリルサービス」)を多く提供するFSC(フルサービスキャリアfull-service carrier)と対比されて論じられることが多い。
LCCは所有機材数を最小限にして高頻度短距離サービスを提供することが多い。またLCCは、機内サービスを提供しないか有料提供し、さらにネット予約によるチケットレスサービスを実現している。これらによって、LCCは運航費用、人件費などの費用を極力抑え、FSCに比べて格段に安い運賃でサービスを提供することができるようにしている。
日本では、全日本空輸(全日空)が出資するPeach Aviation株式会社(ピーチ・アビエーション)が2012年(平成24)に運航を開始したのがLCCの最初であるとされ、従来航空サービスを利用しなかった旅行者層への新規需要開拓に成功したといわれている。その後も、日本航空が出資するジェットスター・ジャパン株式会社、全日空が出資するエアアジア・ジャパン株式会社が参入して、LCC市場は活発化しつつある。
[竹内健蔵]
『村上英樹他編著『航空の経済学』(2006・ミネルヴァ書房)』▽『中条潮著『航空幻想――日本の空は変わったか』(2012・中央経済社)』