ICカード乗車券(読み)あいしーかーどじょうしゃけん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ICカード乗車券」の意味・わかりやすい解説

ICカード乗車券
あいしーかーどじょうしゃけん

自動改札機などの読取り部分に近づけるだけで電車やバスなどの公共交通機関の運賃を自動精算できる、非接触型ICカードタイプの乗車券。交通系ICカードともいう。読取り部分から発せられる微弱な電磁波によってカードとの通信が行われる。プリペイド(料金先払い)方式で、チャージ入金)することで1枚のカードを繰り返し使用する。定期券としての利用も可能で、定期券区間外の運賃は降車時や改札を出る際に自動精算される。クレジットカード機能を加え自動入金できるものや、ICカード乗車券の機能を内蔵した携帯電話やスマートフォンもある。電子マネーカードの機能もあり、駅構内の売店のほか、加盟しているコンビニエンスストアや飲食店、自動販売機などの決済にも利用できる。

 2001年(平成13)に東日本旅客鉄道(JR東日本)が日本で最初のICカード乗車券Suica(スイカ)を導入以降、全国のJRや私鉄などの事業者からICカード乗車券が相次いで発行された。2013年3月23日には全国のICカード乗車券のうち、JRや大手私鉄などの11事業者が発行する10種類のカードで、全国相互利用サービスが開始された。全国相互利用サービスを実施しているICカード乗車券と発行事業者は、Kitaca(キタカ)(JR北海道)、PASMO(パスモ)(パスモ)、Suica(JR東日本)、manaca(マナカ)(名古屋交通開発機構およびエムアイシー)、TOICA(トイカ)(JR東海)、PiTaPa(ピタパ)(スルッとKANSAI)、ICOCA(イコカ)(JR西日本)、はやかけん(福岡市交通局)、nimoca(ニモカ)(ニモカ)、SUGOCA(スゴカ)(JR九州)である。これにより鉄道とバスを合わせ、142の事業者の4275か所(サービス開始時点)にのぼる鉄道の駅をICカード乗車券1枚で乗降できるようになった。ただし、乗車駅と降車駅が同じJRの区分内、もしくは1種類のICカード乗車券の対応エリア内でなければならないなどの制限は残っている。

 また、PiTaPaを除く、9種類のカードは電子マネーとしても相互利用が可能となり、全国20万店以上の加盟店で決済に利用できる。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ICカード乗車券」の意味・わかりやすい解説

ICカード乗車券
アイシーカードじょうしゃけん

IC(集積回路)チップが埋め込まれたカード型の乗車券。東日本旅客鉄道(JR東日本)の Suica,西日本旅客鉄道(JR西日本)の ICOCA,首都圏の PASMO,関西圏の PiTaPaが知られる。切符を買わずに乗り降りできるカードとしては,JR東日本のイオカード(2006年2月廃止)や関東圏私鉄共通乗車券のパスネット(2008年3月廃止)などの磁気カードが運用されていたが,より多くの情報量が記録できる,セキュリティに優れるなどの点から,2001年11月,ソニーの ICカード技術 FeliCaを採用した Suicaが誕生した。無記名カード,紛失しても再発行できる記名カード,定期券の 3種がある。自動改札口の読み取り部分に軽く触れるだけでデータの読み取りができる非接触型。繰り返しチャージ(入金)可能で,電子マネーとしても利用できる。使い勝手のよさから急速に普及し,導入する交通事業者が急増した。

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