DR(disaster recovery 情報)(読み)でぃーあーる

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

DR(disaster recovery 情報)
でぃーあーる

天災テロリズムなどによる被害からの早期復旧・回復措置、あるいは被害を予防・抑止するための措置。disaster recoveryの略である。おもにネットワークやコンピュータシステムなど情報技術(IT)分野で使われる用語で、「災害復旧」「災害回復」などと訳される。非常時の態勢立て直し手順や目標設定を定めた事業継続計画BCP)の一部をなす概念である。経済産業省の事業継続計画策定ガイドラインでは、DRを想定すべきケースとして「大規模システム障害」「セキュリティー事故」「情報漏洩・データ改竄」をあげている。

 DRの目的は、業務中断時間(期間)を極力短くして事業の損失を最小限に抑えると同時に、民間企業の社会的責任を果たし、事業の社会的信用を維持することである。具体的には、(1)破損した機器から特殊な方法で元データを取り出し、早期に復旧・修復する、(2)遠隔地にデータや機器などをバックアップして被害を回避する、(3)非常時に備えて同業他社などとの共同利用や協業を緊密にする、などの手法がとられる。

 アメリカでは1980年代からDRを主業務とする民間企業が登場し、ニューヨーク大停電やアメリカ同時多発テロなどの際、業務回復サービスを提供した。日本でも阪神・淡路大震災の教訓から、民間企業や地方公共団体に事業継続計画の策定を求める機運が高まった。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例