ASEAN自由貿易圏(読み)アセアンじゆうぼうえきけん

百科事典マイペディア 「ASEAN自由貿易圏」の意味・わかりやすい解説

ASEAN自由貿易圏【アセアンじゆうぼうえきけん】

東南アジア地域の協力機構であるASEANによる自由貿易圏構想。ASEAN Free Trade Areaの頭文字からAFTAとも。1992年,シンガポールでのASEAN(東南アジア諸国連合首脳会議で提唱された。ASEAN域内貿易を拡大するため関税率を引き下げようとするもの。引き下げ完了の目標年次は大半の国で2003年とされており(先発加盟6ヵ国は2002年とすることで1998年末に合意),具体的方策として1993年調印の共通効果特恵関税計画(CEPT;common effective preferential tariff scheme),1996年4月合意のASEAN産業協力計画(AICO;ASEAN industrial cooperation)がある。前者の対象となる製品はASEAN域内貿易の約85%以上を占め,後者では自動車産業等で,国際競争力をもった各国企業を育てる方針がとられている。これらの背景には,ASEAN各国内の工業化進展により相互依存関係が深まる一方で,ウルグアイ・ラウンドではASEANに対し市場開放要求が出たこと,1997年のアジア通貨危機NAFTAEUのように世界的な貿易ブロック化が進展していること,さらにアジア太平洋経済協力会議APEC)での東南アジア圏の発言力強化の狙いがある。2000年11月には,ASEANに日本・中国・韓国も加えた〈東アジア自由貿易圏構想〉の作業部会設置で合意が成立。2006年にはASEAN+3にインドオーストラリア,ニュージーランドを加えた16ヵ国の経済担当閣僚会議で,アジア自由貿易協定AFTA構想が提案され大筋合意された。
→関連項目環太平洋経済圏構想バーツ経済圏

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