黒崎郷(読み)くろさきごう

日本歴史地名大系 「黒崎郷」の解説

黒崎郷
くろさきごう

中世の郷村名で、相馬そうま御厨のうち。おおよそ現我孫子市から現茨城県利根町布川ふかわにわたる地域に比定される。弘安七年(一二八四)三月二二日の平氏女譲状(島津家文書)に「さうむまの御くりやのうちくろさきのかう」とみえ、島津久経に嫁した尼妙智は、康元元年(一二五六)および弘安三年に父胤綱・母相馬尼から譲与された当郷を子息忠宗に譲与した。弘安一〇年妙智は「黒崎内下黒崎村加発戸并稲村・文間郷内押手村」を幕府から安堵された(一〇月二四日「関東下知状」鳥浜氏所蔵文書)いな村は現茨城県取手市稲と思われる。下黒崎村は未詳だが、現我孫子市岡発戸おかほつと下ケ戸さげとの近辺に比定される発戸が付属しているから、下黒崎村も我孫子市域であろう。正和二年(一三一三)尼しんねんが娘阿久里に譲与した「あひこのむら」も妙智から忠宗を介して伝領されたものであり(同年一二月二八日「尼しんねん譲状」肥後三池文書など)、黒崎郷内の村であった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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