鵠を刻して家鴨に類す(読み)こくをこくしてあひるにるいす

精選版 日本国語大辞典 「鵠を刻して家鴨に類す」の意味・読み・例文・類語

こく【鵠】 を 刻(こく)して家鴨(あひる)に類(るい)

(「後漢書馬援伝」の「龍伯高敦厚周慎〈略〉效伯高得、猶謹勅之士、所謂刻鵠不成、尚類上レ鶩者也」から) 白鳥を刻んでできそこなっても、形は家鴨に似る。謹直の人を学んで及ばなくても、似通って善人になれることのたとえ。

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故事成語を知る辞典 「鵠を刻して家鴨に類す」の解説

鵠を刻して家鴨に類す

まわりから尊敬される立派な人のまねをすれば、その通りにはなれなくても、似た善人にはなれることのたとえ。

[由来] 「後漢書えん伝」に見えることばから。一世紀の中国でのこと。後漢王朝に仕えた将軍、馬援は、甥たちがやくざな者たちと付き合っていると耳にして、手紙を送って戒めました。その中で、りゅうはくこうという生真面目でみんなから尊敬されている人物を挙げて、「彼のまねをしていれば、まかり間違っても実直な人物にはなれる。『鵠を刻して成らずとも、なおぼくに類す(白鳥の彫刻を作ろうとしてできそこなっても、アヒル程度のものにはなる)』というやつだ」と述べています。

[解説] この手紙の続きの部分からは、「虎を描きて犬に類すという故事成語も生まれています。

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