鳥海遺跡(読み)とのみいせき

日本歴史地名大系 「鳥海遺跡」の解説

鳥海遺跡
とのみいせき

[現在地名]金ヶ崎町西根 鳥海・原添下

胆沢川北岸、六原ろくはら扇状地の金ヶ崎段丘南縁(標高約五九メートル)にある一一世紀頃の住居跡。「陸奥話記」にみえる安倍氏の鳥海とりのみ柵の有力比定地。東は北上川に限られ、南方胆沢扇状地一望にできる要地で、南東約二・五キロの所に胆沢城(現水沢市)、さらに南方には大麻生おおあそう野・白鳥しろとり(現前沢町)があり、そのすぐ南は安倍氏の本拠地衣川ころもがわ(現衣川村)である。調査は昭和四七年(一九七二)と同五〇年に行われた。調査区域は南側段丘面が開析谷によって画されており、その部分をA地区、他をB地区としている。検出された遺構は、A地区では奈良時代の竪穴住居跡一棟、平安時代の竪穴住居跡四棟・掘立柱建物跡二棟・柱穴列九列・焼土遺構三基・溝跡三条。B地区では平安時代の竪穴住居跡一一棟・竪穴状遺構五棟・大型ピット遺構一三基・空濠跡一条などである。

A地区における遺構群の占地は、住居跡・建物跡は北半部に集中し、柱穴列は全域にわたっている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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