魂消(読み)たまげる

精選版 日本国語大辞典 「魂消」の意味・読み・例文・類語

たま‐・げる【魂消】

〘自ガ下一〙 (「げる」は「きえる」の変化したもの) 肝をつぶす。驚く。びっくりする。仰天する。たまぎる。たまがる。
※俳諧・広原海(1703)一五「巻台の古人たまげん高欠び」
坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉一〇「其三十人が悉く抜き身を携げて居るには魂消(タマゲ)た」
[語誌](1)「驚く」意の方言は、近畿周辺にビックリスル、その外側にオビエル類、さらに外側にタマゲル類が周圏分布を呈し、かつて都で起こったタマゲル類→オビエル類→ビックリスルとの語の改変を反映する。
(2)文献への出現順は、オビユ・オドロク(奈良時代)→タマゲル類(平安時代末)→ビックリスル(室町時代末)で、意味差・文体差などが関与するため、方言に反映された歴史とは必ずしも噛み合わない。

たま‐ぎ・る【魂消】

[1] 〘自ラ四〙 =たまげる(魂消)
※高野本平家(13C前)四「主上夜々おびえたまぎらせ給ふ事有りけり」
鳥影(1908)〈石川啄木〉九「『アレッ、新坊様が!』と魂消(タマギ)った叫声が」
[2] 〘自ラ下二〙 =たまげる(魂消)
山家集(12C後)下「いとほしやさらに心のをさなびてたまぎれらるる恋もするかな」

たま‐が・る【魂消】

〘自ラ四〙 =たまげる(魂消)日葡辞書(1603‐04)〕
雑俳・長ふくべ(1731)「こりゃたまらぬはたまがられぬぞ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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