馮延巳(読み)ふうえんし

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「馮延巳」の意味・わかりやすい解説

馮延巳
ふうえんし
Feng Yan-si

[生]天復3(903)/天祐1(904)
[没]建隆1(960)
中国,五代十国の南唐の詞人,政治家。「ひょうえんし」とも読む。広陵 (江蘇省江都県) の人。字,正中。一説に名を延己 (えんき) とする。南唐の中主李 璟 (りえい) に仕え宰相となったが,政治家としては無能で,討周を企てて逆に敗れ,南唐の滅亡を早めた。は落ち着いた情緒のなかに清雅な味わいを含み,李 璟,李 煜 (りいく) 父子とともに南唐を代表する。特に北宋晏殊欧陽修に与えた影響が大きい。詞集『陽春録』。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「馮延巳」の意味・わかりやすい解説

馮延巳
ふうえんし
(903―960)

中国、五代の南唐の詞人。一名延嗣。字(あざな)は正中。広陵(江蘇(こうそ)省揚州)の人。初め南唐の中主李璟(りえい)に書記として仕え、のちに宰相に至った。政治家としてはあまり高く評価されず、もっぱら詞人として知られる。その詞は多く士大夫(したいふ)の閑情や男女の離情を歌い、作風閑雅、艶麗(えんれい)を極める。唐・五代の詞人中、北宋(ほくそう)の詞壇にもっとも大きな影響を与えた。詞集には、宋代に入って外孫の陳世修の編んだ『陽春集』があるが、これには晩唐・五代・北宋前期の詞人の作品が数多く混入している。

青山 宏]

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