食切(読み)くいきる

精選版 日本国語大辞典 「食切」の意味・読み・例文・類語

くい‐き・る くひ‥【食切】

〘他ラ五(四)〙
① 歯でかみ切る。食いちぎる。
今昔(1120頃か)三一「其の死人頭より切て頭无かりけり、〈略〉此は鰐(わに)などの咋切(くひきり)たるにこそは」
② あるものを全部食べてしまう。食いつくす。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)四「五人十人で食切(クヒキ)らぬほどの大鰹が三十六文だから」
③ まったく関係を絶つ。
人情本春色梅児誉美(1832‐33)三「どうか婆々が方を引離(クヒキッ)てやろふ」

くい‐きり くひ‥【食切】

〘名〙
① 食いちぎること。歯でかみ切ること。また、食いつくすこと。
② 思い切ること。あきらめること。
歌舞伎処女評判善悪鏡白浪五人女)(1865)二幕「よく言ふ事を聞いてくれた、さう喰(ク)ひ切(キ)りの早いのが、悪党性根だ」
釘抜きに似て、釘をはさむ部分が刃になっているもの。針金などをはさみ切ったり、袋物金具を取り付けるのに用いる道具

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