食下(読み)くいさがる

精選版 日本国語大辞典 「食下」の意味・読み・例文・類語

くい‐さが・る くひ‥【食下】

〘自ラ五(四)〙
① 食いついてぶらさがる。どこまでも食いついて離れない。
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉五「耳に喰ひ下がったのは中心を失ってだらりと吾が横顔に懸る」
② 粘り強く追求する。
※欅の芽立(1936)〈橋本英吉〉三「百姓をするより外に、生活の道はないのだった。だからこれに喰ひさがらうと考へてゐるのだが」
相撲で、相手前褌(まえみつ)を引き、頭を相手の胸につけ腰をさげて低く組む。
※相撲講話(1919)〈日本青年教育会〉常陸、梅の爛熟時代「荒は額を常陸の乳の辺に押当ててぴたりと喰下(クヒサガ)り」
④ スポーツや勝負事などで、負けそうになりながらも、粘り強く戦う。
青鬼の褌を洗ふ女(1947)〈坂口安吾〉「有望力士であったが、〈略〉しつこく食ひさがるねばりがない」

くい‐さがり くひ‥【食下】

〘名〙
① 食いさがること。また、不利な状況でも粘り強く追い求めること。
※幻の勝利(1966)〈新橋遊吉〉「ヒカリウェーはやっとコンゴウミドリの執拗な喰いさがりを振り切って、トップに立った」
② 相撲で、相手の前褌(まえみつ)を引き、頭を相手の胸につけ腰をさげて低く組んだ型。
左翼団体自ら勢力を伸ばす戦術の一つ。目指す団体の中に団員を加入させ、その団体の行動方針を内部から批判するなどして、左翼に転換させること。〔モダン用語辞典(1930)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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