領邦教会制(読み)りょうほうきょうかいせい(英語表記)Landeskirchentum

山川 世界史小辞典 改訂新版 「領邦教会制」の解説

領邦教会制(りょうほうきょうかいせい)
Landeskirchentum

ドイツ領邦君主は,すでに宗教改革以前から,ローマ教皇との個別協約により,領内司教に対するかなり大きな保護支配権を獲得していたが,ルター主義の導入によって修道院解散,その財産を没収するに及んで,領内の教会行政全体に対する「最高の司教」としての立場確立した。しかしプロテスタント教会と領邦主権との癒着は,教義上の硬直性と宗教的不寛容の大きな原因ともなった。

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旺文社世界史事典 三訂版 「領邦教会制」の解説

領邦教会制
りょうほうきょうかいせい
Landeskirchentum

ドイツの領邦君主が領内の教会の保護支配権を握る制度
ドイツでは,世俗君主が教会を建設する私有教会制の伝統が中世からあって,世俗君主が教会統治権を要求してきた。16世紀初めルターの宗教改革でドイツに混乱が広がると,ルターの教会改革を支持する領邦君主(諸侯)が皇帝に対抗して,教会指導のための宗務局の設置や教会法の確立などを通して,自領内に領邦教会を制度化していった。1555年のアウグスブルクの宗教和議では,領邦君主の宗教が領邦公認の宗教となることが承認され,領邦教会制は第一次世界大戦まで存続した。

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世界大百科事典(旧版)内の領邦教会制の言及

【宗教改革】より

…この経験は,もともと社会観において保守的だったルターやその協力者たちに強い衝撃を与え,以後,宗教改革の政治的主導権は領邦君主に移っていく。
[領邦教会制]
 中世カトリシズムは,本来教会と国家の関係については,〈教会の中に国家がある〉という立場をとってきた。中世末期における国民国家形成の動きは,教皇統治体制の動揺に対応しつつ,フランス,スペインなどで,領域内の教会を王権の統制下に置こうとする傾向を示したが,宗教改革は,俗権の宗教的任務を強調することによって,この領域教会主義を確立した。…

※「領邦教会制」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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