面被(読み)めんかぶり

精選版 日本国語大辞典 「面被」の意味・読み・例文・類語

めん‐かぶり【面被】

〘名〙
① 正月の門付け芸の一つ。面をかぶった万歳師・猿まわしなどが、家々をめぐってその年の祝いを行なうもの。《季・新年》
俳諧・新季寄(1802)正月「面かぶり 信州飯田に有。万才猿ひきの類ひにて早春其所の古き家にきたり。面をかぶり鎌倉御治世のことをふしつけて舞うたふ也」
② 面をつけたように、顔に白粉を濃くぬりつけているのをののしっていう語。
※人情本・娘消息(1834‐39)初「向うの娘が面被り
本性を包み隠して、表面おとなしそうに見せること。また、その人。猫かぶり。
※ゆく雲(1895)〈樋口一葉〉中「小利口なるは狡るき性根をやしなうて面(メン)かぶりの大変ものに成もあり」
水泳で、手足をのばし、顔を水につけ、うつぶせの姿勢で水に体を浮かせること。
⑤ 魚貝などを採る時に、水中をのぞくための道具。
※東京風俗志(1899‐1902)〈平出鏗二郎〉下「面被(メンカブ)り 箱の如き框の前面硝子にて張りたるものにして、中に横木ありて、これを歯にて啣へて顔に被り、水面に入れて覗へば、水中を透し見ることを得るなり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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