霊岸島(読み)レイガンジマ

デジタル大辞泉 「霊岸島」の意味・読み・例文・類語

れいがん‐じま【霊岸島】

東京都隅田川河口の西岸の旧地名。現在の中央区新川にあたる。江戸初期に霊巌れいがんが建立され、門前町として発展

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精選版 日本国語大辞典 「霊岸島」の意味・読み・例文・類語

れいがん‐じま【霊岸島】

(霊巖寺が建てられてあったところから呼ばれ、はじめは霊巖島と書かれた) 東京都中央区、隅田川河口の島。現在新川一・二丁目となる。江戸初期までは中島と呼ばれていた。万治元年(一六五八)霊巖寺が深川に移ると、水運に恵まれた地の利から倉庫が並び、江戸時代は材木問屋街、のち清酒問屋街として発展した。

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改訂新版 世界大百科事典 「霊岸島」の意味・わかりやすい解説

霊岸島 (れいがんじま)

東京都中央区新川の旧名。日本橋川下流の新堀と亀島川にはさまれた島で,はじめ江戸の中島と呼ばれたが,1624年(寛永1)に霊巌雄誉が霊巌寺を建立したところから名がついた。明暦大火後に寺が深川に移転したのち町屋が増加した。のち河村瑞賢が日本橋川に並行して中央に運河(新川)を掘削した。以後この付近は,永代橋まで畿内からの廻船が入りこむため江戸の港として栄えた。下り物の問屋として,霊岸島町には瀬戸物問屋が多く,また銀(しろがね)町や四日市町には酒問屋が多かった。《江戸名所図会》にみられるように,新川の下り酒問屋は江戸に流入する灘,伊丹の酒の最大の集散地であった。また,酢問屋,材木屋も多かった。のち京橋区に所属し,1931年から71年まで霊岸島の町名が存続した。もとこの地内にあった新川や越前堀などの水路は,1948年ころまでにすべて埋め立てられ,現在は倉庫や問屋が集中している。第2次大戦前まで,東京湾の潮位はこの霊岸島で測られていた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「霊岸島」の意味・わかりやすい解説

霊岸島
れいがんじま

東京都中央区東端、現在の新川1、2丁目にあたる地区。霊巌島とも書く。以前は越前堀(えちぜんぼり)、霊岸島、新川に分かれていた。大川(隅田川(すみだがわ))の中州川中島)で、初め箱崎と連結し、江戸中島とよばれていたが、「寛永(かんえい)図」には州を新堀川(新川)で中断して、箱崎と分離し、霊岸島としてある。『江戸名所図会』に八丁堀北東の一州に霊巌寺があってその名に由来したとある。霊岸寺町はその門前町として発展した所で、霊巌寺は明暦(めいれき)の大火(1657)後、1659年(万治2)深川へ移ったが、跡地に町家が発達した。新堀川と八丁堀川を隔てて北東は箱崎、北西は茅場(かやば)町、南西は八丁堀、東は隅田川に対していた。越前堀には御船手組屋敷、南端には船見番所が置かれ、霊岸島町には船大工が多く居住していた。旧新川町は河岸に酒問屋が集中し繁栄した。現在も永代(えいたい)橋を隔てて深川、江東(こうとう)、房総へ通じる水陸交通の要地で、倉庫などが集中している所となっている。霊岸島の名称は、わずかに霊岸橋にその名をしのぶほかはない。

[菊池万雄]

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百科事典マイペディア 「霊岸島」の意味・わかりやすい解説

霊岸島【れいがんじま】

東京都中央区東部,隅田川河口右岸地区。現在の新川1〜2丁目。霊岸島は,江戸初期には北の箱崎島(現,日本橋箱崎町)とともに江戸中島と呼ばれたが,のち新川によって分離。1634年幕府は蝦夷(えぞ)地物産会所を設置,塩ザケ,コンブなどの専売を営んだ。1624年創建の霊巌(れいがん)寺があったが,明暦の大火後深川に移転。現在は再開発ビル,工場,住宅が混在。埋立や土地隆起のため,島の面影はない。
→関連項目中央[区]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「霊岸島」の意味・わかりやすい解説

霊岸島
れいがんじま

東京都中央区東部,隅田川河口右岸の旧町名。現在の新川1,2丁目にあたる。江戸時代初期には北の箱崎島 (現日本橋箱崎町) とともに江戸中島と呼ばれたが,新川の開削により分離。地名は寛永1 (1624) 年霊巌雄誉上人がこの地に創建した霊巌寺に由来 (寺は明暦の大火後,深川に移転) し,霊巌島とも書いた。以後町家門前町として発展した。また海上交通の拠点でもあり,上方からの酒を扱う問屋が集中していた。現在では当時の面影は残っていないが,商業地区となっている。

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