精選版 日本国語大辞典
「難波・浪速・浪華・浪花」の意味・読み・例文・類語
なにわ なには【難波・浪速・浪華・浪花】
[一] 大阪市の
上町台地以東の地域の古称。また、一般に大阪をいう。
[二] (浪速) 大阪市の行政区の一つ。
道頓堀川の南側、
木津川の東側の地域。北部の
難波(なんば)地区は
繁華街「
ミナミ」の
一角。日本橋筋などの問屋街があり、
皮革・金属・家具製造などの中小工場も多い。大正一四年(
一九二五)成立。
[三] (難波)
謡曲。脇能物。各流。世阿彌作。
朝臣が新年に三熊野からの帰途難波の里を訪れると、若い男を連れた老人が現われて梅をさして、これが古今集の歌に「難波の梅」とよまれた
名木であると語り、自分はその歌をよんだ王仁
(おうにん)で若い男は梅の精だと言って消える。その夜の夢の中に王仁と木華開耶姫
(このはなさくやひめ)が現われ、
舞楽を奏し聖代を祝福する。
[四] (難波)
抹茶茶碗。黄瀬戸。
安土桃山時代の作。口造りは端反りで口部はややすぼまっている。腰はやや広がり胴に一本の筋があり、
高台(こうだい)はきわめて低い。元来は食器で転用物と考えられる。
[
補注](一)の
語源については、
上代、上町台地の
西側のふもとは海に面し、
付近の
浅海に魚が多いために魚
(な)庭
(にわ)と呼ばれたところからとする説、付近の海の潮の流れが速いところから浪速と表記され、浪
(なみ)が浪
(なに)と読まれたとする説などがある。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報