鏡(熊本県)(読み)かがみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鏡(熊本県)」の意味・わかりやすい解説

鏡(熊本県)
かがみ

熊本県中部、八代(やつしろ)郡にあった旧町名鏡町(まち))。現在は八代市の北西端部を占める。旧鏡町は1889年(明治22)町制施行。1955年(昭和30)文政(ぶんせい)、有佐(ありさ)の2村と合併。町名は「印鑰(いんにゃく)明神池の別称、鏡池」による。2005年(平成17)八代市に合併。旧町域はJR鹿児島本線が通じる。全域沖積層で覆われ、最高標高でも8メートルに満たない。西の八代海に臨む海岸線から、3~5キロメートルほど東に入った地点までは、17世紀以降に干拓された標高2メートル以下の低平地で、町域の約80%を占める。東部の約20%は、断層線崖(がい)(臼杵(うすき)‐八代構造線)を横切る氷(ひ)川、鏡川、大鞘(おざや)川の搬出する砂礫(されき)、泥土の堆積(たいせき)によって自然に陸地化した地形面で、有佐貝塚、蘇我(そが)石川宿禰(すくね)(奈良時代)を祀(まつ)る印鑰神社があり、開発の古さを示す。主産業は農業で、稲作と水田裏作としてのイグサ栽培や施設園芸(イチゴ、トマト、メロン)が中心。ほかに干潟浅海を利用したアサリノリ養殖も盛んである。湿田、干潟に依存した生活様式が、かつては鏡熱とよばれたウイルス性腺熱(せんねつ)を多発させたが、土地改良事業完成とともに消滅した。4月7日に鏡池で催すフナの手づかみどりは、印鑰神社の鮒(ふな)取り神事として知られている。

[山口守人]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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