錦織綱場跡(読み)にしこおりつなばあと

日本歴史地名大系 「錦織綱場跡」の解説

錦織綱場跡
にしこおりつなばあと

[現在地名]八百津町錦織

木曾川流域は全国有数の林産資源を有する。近世以前の木材輸送はその多くを川に頼った。錦織より上流木曾川では急流のため、川狩といって管流しが行われた。錦織綱場において木材は筏にまとめられ、下流へ運ばれた。綱場は錦織の北東蘇水そすい峡を出た木曾川が北流し、西へ流れを変える地点にあり、河川における運材施設としての規模や機能の大きさにおいて木曾川屈指といえる。この地において管流材を係留し、筏に編成する作業がいつ頃から行われたのかは不明だが、弘安八年(一二八五)には伊勢神宮周辺の山が荒廃したため、杣山美濃(のちの木曾山)に移すことが提案された(中院一品記)。貞和元年(一三四五)の外宮正遷宮に際しては、造営材は美濃山から出されている(師守記)。この頃すでに錦織には小規模な木材係留施設があったと思われる。応永二九年(一四二二)一〇月一六日の美濃国河上関々奉行人中宛の土岐持益過所(円覚寺文書)に「正続院造営材木筏百乗、但自河上至綱場三綱分也、任今月十一日御過所之旨、従当年至明年春中、連々運上云々」とあり、河上関は錦織河上の関をさしている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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