銭司村(読み)でずむら

日本歴史地名大系 「銭司村」の解説

銭司村
でずむら

[現在地名]加茂町大字銭司ぜず

木津きづ川の北、瓶原みかのはら郷の東に続く地を占め、集落湾漂わんびよう山南麓の河岸段丘上に位置する。西は井平尾いのひらお村、南は木津川を挟んできた村の山間地に対する。東は木屋こや(現和束町)。村の南を伊賀街道が通る。近世には「でず」とよばれた(山城名跡巡行志、京都府地誌)

わが国最初の貨幣である和同開珎を鋳造した鋳銭場のあった所とされ、その遺跡がある。「日本書紀」によれば、持統天皇八年三月、直広肆大宅朝臣麻呂ら三人を「鋳銭司にす」とあるが、この地に鋳銭場が設置された時期を知る史料はない。山城国鋳銭司が初めて文献に出るのは「三代実録」貞観七年(八六五)九月二六日条で、「勅木工寮、採於山城国相楽郡岡田郷旧鋳銭司山」とある。

しかし、天長四年(八二七)七月三日付太政官符(類聚三代格)に「右得鋳銭司解称、案内、此司在岡田之日、典薬医師一人別置司家、今医師停置療治無方、望請、省史生医師」とあり、天長の頃はすでに廃されていたが、それ以前にはこの地に鋳銭司が置かれ、司家には専属の医師がいたことがわかる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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