追腹(読み)オイバラ

デジタル大辞泉 「追腹」の意味・読み・例文・類語

おい‐ばら〔おひ‐〕【追(い)腹】

家来が、死んだ主君のあとを追って切腹すること。供腹ともばら。「追い腹を切る」⇔先腹さきばら
[類語]割腹切腹腹切り詰め腹

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精選版 日本国語大辞典 「追腹」の意味・読み・例文・類語

おい‐ばら おひ‥【追腹】

〘名〙 主君の死後臣下があとに続いて切腹すること。古くから行なわれたが、江戸幕府は寛文三年(一六六三五月禁止した。殉死供腹(ともばら)。⇔先腹(さきばら)
明徳記(1392‐93頃か)中「軍のならひは海山を隔てても、大将討死したるをききては、追腹を切るもならひぞかし」

つい‐ふく【追腹】

〘名〙 主君の死後、家臣がそのあとを追って切腹すること。おいばら

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世界大百科事典(旧版)内の追腹の言及

【殉死】より

…大型前方後円墳の周囲にある陪冢(ばいちよう)にも,器物をのみ納めた例が検出されているので,殉死者を埋葬しているものと断定できない。【和田 萃】 武士の社会では,戦場で主君が討死したような場合に従者らが切腹してあとを追い,死後の世界まで随行しようとすることは早くからあり,追腹(おいばら)あるいは供腹(ともばら)とよばれた。しかし主君の病死にまで追腹を切った例は,1392年(元中9∥明徳3)管領細川頼之に対する三島外記の場合を記録した《明徳記》に〈前代未聞の振舞〉とあるように,特異なできごととみなされていた。…

【切腹】より

…腹を切るのは苦痛も多く,致死も困難であるが,自分の真心を人に示すという観念,および戦場や人の面前で自殺するのにはもっとも目につきやすく,勇壮であるというところから,この部位が選ばれたのであろう。敗軍の将兵が捕らえられることをまぬかれるために行うことが多いが,主君への殉死のためにする追腹(おいばら),職務上の責任,世間の義理から人に迫られてやむなく行う詰腹(つめばら)などもあった。 刑罰としては中世末から行われたが,江戸時代に幕府・藩が採用し,武士のうち侍と呼ばれた上級武士に対する特別の死刑となった。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」