輪蔵(読み)リンゾウ

デジタル大辞泉 「輪蔵」の意味・読み・例文・類語

りんぞう【輪蔵】[謡曲]

謡曲四番目物観世喜多流観世弥次郎長俊作。旅僧北野天神輪蔵を拝むと、経巻の守護神火天と輪蔵を考案した傅大士ふだいしの霊が現れ、一夜にしてすべての経巻を拝ませる。

りん‐ぞう〔‐ザウ〕【輪蔵】

転輪蔵」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「輪蔵」の意味・読み・例文・類語

りん‐ぞう ‥ザウ【輪蔵】

[1] 〘名〙 (「転輪蔵」の略) 経蔵中に設けて、経典を収納するための回転式の書棚
興禅護国論(1198)下「謂、衆僧集会奏伎楽、転八輻輪蔵
太平記(14C後)八「三間四面の輪蔵(リンザウ)には、転法輪の相を表して、七千余巻の経論を納め奉られけり」
[2] 謡曲。脇能物。観世・宝生・喜多流。観世彌次郎長俊作。大宰府の僧が京都の北野天満天神に参詣し輪蔵を拝すると、老人が出て来て自分は五千余の経巻を守護する十二天のひとり、火天(かてん)であると名乗り、一夜のうちにすべての経巻を拝ませると約束して姿を消す。やがて傅大士(ふだいじ)が普建・普成の二童子を伴って現われ、釈迦一代の経箱を僧に与え楽を奏する。すると先の火天が天下り、僧を輪蔵に誘い転読によって経文をすべて示す。

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世界大百科事典(旧版)内の輪蔵の言及

【アワ(粟)】より

…福島県会津地方では9月13日に十三夜様が粟穂の先から天に帰ると伝えており,《日本書紀》の少彦名命が国造りの後,粟柄にはじかれて常世に渡ったという記事を想起させる。また石川県小松市小原では,かつてナギカエシという焼畑の収穫祭に〈輪蔵(りんぞう)〉といって臼に杉皮を巻きつけヒエ,キビ,アワの穂を入れて花のようにしたものを作って,神座としたという。鹿児島以南の南西諸島でも,アワは盛んに栽培された。…

※「輪蔵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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