北野(読み)きたの

精選版 日本国語大辞典 「北野」の意味・読み・例文・類語

きたの【北野】

[一] 京都市上京区紙屋川天神川)と七本松通一条通神明町の間の地区。平安京大内裏(だいだいり)の北端にあたり、古くは大内裏の上水が流れていたため、庶民の居住が禁じられていたという。北野神社北野天満宮)があり、中世にはその神領だった。

きたの【北野】

姓氏の一つ。

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デジタル大辞泉 「北野」の意味・読み・例文・類語

きたの【北野】

京都市上京区北西部の地名。北野天満宮がある。名は大内裏の北の野の意。

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日本歴史地名大系 「北野」の解説

北野
きたの

北野天満宮てんまんぐうの鎮座する辺り一帯を称する。平安京大内裏の北の野という意で、京都七野の一に数えられていた。

平安京以前は、山背国葛野かどの上林かむつはやし郷に属しおおむね秦氏の領地であったとされる。「日本後紀」延暦一五年(七九六)一〇月二日条に「遊猟於北野」とあり、以後遊猟記事が現れる。「類聚国史」は同一五年八月「庚寅、便御伊予親王山荘」また二二年八月「乙巳、便過伊予親王大井荘」と北野遊猟に付記し、「日本後紀」も弘仁五年(八一四)七月「辛丑、遊猟北野、日晩御嵯峨院」と記す。大井(堰)・嵯峨の地名から、北野は古く広い範囲をさしたと思われ、北野天満宮鎮座以降、その周辺に限定されたといえよう。

「三代実録」貞観一七年(八七五)一〇月一二日条に「糜鹿一入主殿寮御湯舎、有入捕獲、放之北野」とあり、主殿寮御湯舎にまぎれ込んだ糜鹿を捕らえ北野に放した記事を載せている。

北野
きたの

[現在地名]久慈市侍浜町

盛岡藩の藩営九牧の一。「郷村古実見聞記」に「北野長六里程海 横一里程」とあり、「管轄地誌」には北侍浜きたさむらいはま村の南西、東西一里一〇町・南北一〇町とある。永正五年(一五〇八)の糠部郡九箇部他馬焼印図(古今要覧稿)に「具しの部」として「北野印、二引両の丸、これは先代のなかさき方印同前」と記されており、鎌倉時代に当牧の領主は北条氏被官長崎氏であったことを示唆する。付近には長崎ながさきの地名が残る。侍浜久慈系図によれば、大永年間(一五二一―二八)久慈城主久慈信実の次男信興は父の命を受けてこの地に牧場を開き併せて開墾した。しかし九戸政実の乱後、牧は廃止されていたとみえ、正保二年(一六四五)の書上絵図(盛岡市中央公民館蔵)では盛岡藩領の一〇牧のうちに北野牧は入っていない。

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百科事典マイペディア 「北野」の意味・わかりやすい解説

北野【きたの】

平安京の北辺,北山南麓に点在する野の一つで,現京都市右京区の北野天満宮鎮座地一帯に広がっていた。名称は平安京大内裏の北に位置することによる。京都七野の一。平安遷都後,北野は遊猟地となり,鹿が放牧され,牧童も置かれていた。また古くからこの地は天神地祇を祀る聖地であり,9世紀末からは農耕神である雷神信仰が盛んになった。のち菅原道真の怨霊を鎮(しず)めるため北野天満宮が当地に造営されるのは,道真の怨霊が雷神・天神と結びついて説かれたためと思われる。北野は歌枕で詠歌が多いが,多くの場合天満宮をさす。
→関連項目宇太野

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改訂新版 世界大百科事典 「北野」の意味・わかりやすい解説

北野 (きたの)

京都市上京区にある地名。古代の京都周辺にあった平野(ひらの),紫野などの野のうちの一つ。平安京の北郊にあたるところから北野と称された。早くは遊猟地として文献に見えているが,やがて京都の発展にともなって都市域が拡大していって人家が北野にも進出した。しかし以降も郊外の野であることに変りなく,農村的な地域として終始した。また古くから天神地祇とくに雷神をまつる聖地でもあった。平安時代の中ごろに菅原道真をまつる天神がこの地に作られた。
北野天満宮
執筆者:

北野(福岡) (きたの)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「北野」の意味・わかりやすい解説

北野
きたの

福岡県南西部,久留米市北東部の旧町域。筑紫平野の北東部にある。 1901年町制。 1955年弓削村,大城村,金島村の3村と合体。 2005年久留米市に編入。中心地区は北野神社の門前町として発達。大部分を耕地が占め,筑後地方の米の主産地をなす。裏作で野菜園芸も行なわれる。筑後川右岸の低地にあり,古くからしばしば水害に見舞われた。塚島古墳,持田古墳などの遺跡がある。

北野
きたの

京都市の市街地北西部,北野神社付近の地区。上京区と北区にまたがる。地名は平安京大内裏の北側にあった野の意であるといわれる。菅原道真をまつる天満宮は 10世紀中頃の創建で,太宰府天満宮とともに,全国の天満宮の総社。天正 15 (1587) 年豊臣秀吉が大茶会を開いた。毎月 25日には参道一帯に縁日が開かれる。

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