覗・覘・臨(読み)のぞく

精選版 日本国語大辞典 「覗・覘・臨」の意味・読み・例文・類語

のぞ・く【覗・覘・臨】

[1] 〘自カ五(四)〙
① (臨) それに向かって見えやすい位置をしめる。間近にさしかかる。臨む。
※大和(947‐957頃)一四七「この平張はかはにのぞきてしたりければ、づぶりとおちいりぬ」
源氏(1001‐14頃)帚木「人々、渡殿より出でたる泉にのぞきゐて、酒飲む」
一部分があらわれ出る。
※黒い眼と茶色の目(1914)〈徳富蘆花〉二「上塗をせぬ土塀から見越しの赤松が覗(ノゾ)いた門構への平家造りの家だった」
[2] 〘他カ五(四)〙
① すきまや穴を通して向こうを見る。
※霊異記(810‐824)下「林、佇(ノソキテ)看れば、草の中に太快しく肥えたる女有り。〈真福寺本訓釈 佇 乃曾支天〉」
② ひそかに様子を見る。うかがい見る。また、他人のかくしごとや秘密などをそっと見る。「娘の日記を覗く」
日葡辞書(1603‐04)「ヲソロシナガラ nozoite(ノゾイテ) ミレバ」
③ ちょっと見る。ざっと見る。ちょっと立ち寄って見る。
※源氏(1001‐14頃)花散里「わざとなく忍びやかにうちふるまひ給ひてのぞき給へるもめづらしきに添へて」
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二「両側の夜見世を窺(ノゾ)きながら、文三がブラブラと神保町の通りを通行した頃には」
④ 身をのり出して低い所を見る。見おろす。また、首をのばすようにしてそれを見る。
※源氏(1001‐14頃)手習「河ちかき所にて水をのぞき給ていみじうなき給き」
⑤ 写したり見たりする装置や道具に目を近づけて、物を見る。「望遠鏡を覗く」
※自然と人生(1900)〈徳富蘆花〉湘南雑筆「水中眼鏡で覗(ノゾ)くと、五六尾の背の黒い魚等が」
将棋で、角行が端の筋に動いて敵陣脅威を与える。また、囲碁で、一路あけて並んでいる相手の石の連絡をおびやかす位置に石を打つ。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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