見渡(読み)みえわたる

精選版 日本国語大辞典 「見渡」の意味・読み・例文・類語

みえ‐わた・る【見渡】

〘自ラ四〙
全般にわたって見える。一面に見える。
※班子女王歌合(893頃)「浦ちかく立つ朝霧はも塩焼く煙とのみぞみえわたりける」
② 一見してそれとわかる。見て推察される。
浮世草子・西鶴諸国はなし(1685)二「酒ひとつもるべし是へと、見へわたりて吸筒もなく、不思議ながらちかふよれば」
③ 身のまわりにある。
※浮世草子・好色一代女(1686)四「見えわたりたる諸道具を取さばきの奉公也」

み‐わたし【見渡】

〘名〙
① 見渡すこと。遠く見渡される所。また、見渡せる範囲。みはらし。転じて、物事全体を見ること。
万葉(8C後)一三・三二九九「見渡(みわたし)妹らは立たし この方に 吾れは立ちて」
連歌俳諧折紙懐紙をひろげて見渡せる両面。たとえば、一の折の裏と二の折の表の両面。
評判記難波の㒵は伊勢白粉(1683頃)二「又ひとりぬけしうどっこいもはや見わたしにはなひとてもはりあひのなひ」

み‐わた・す【見渡】

〘他サ五(四)〙 こちらからかなたをはるかに見やる。遠く広く見る。広範囲にながめる。転じて、物事の全体を見てとる。
※万葉(8C後)一九・四二〇九「朝には 門に出で立ち 夕には 谷を美和多之(ミワタシ)
源氏(1001‐14頃)朝顔前栽の心ばへもことにみわたされて」

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