袖の渡(読み)そでのわたり

日本歴史地名大系 「袖の渡」の解説

袖の渡
そでのわたり

住吉すみよし町一丁目住吉公園の辺りと対岸を結んだ渡船場を袖の渡とよび、歌枕の地とする。清少納言に「さねかたのきみの、みちのくにへくたるに」の詞書のある「とこもふちふちもせならぬ涙川そでのわたりはあらじとぞおもふ」の歌がある。平安時代の女流歌人相模の「みちのくの袖のわたりの涙がは心のうちにながれてぞすむ」(新後拾遺集)もある。天和二年(一六八二)の「松島眺望集」の付図中、北上川の所に「袖の渡りの川口」と注記される。「おくのほそ道」に「袖のわたり・尾ぶちの牧・まのゝ萱はらなどよそめにみて」とあり、「曾良旅日記」に「帰ニ住吉ノ社参詣。

袖の渡
そでのわたり

[現在地名]北上町橋浦

当地本地ほんちの北上川にあったと伝える渡場。多くの歌に詠まれた名所に比定される。「新後拾遺集」所載の相模の歌として「みちのくの袖のわたりの涙がは心のうちにながれてぞすむ」とある。「観蹟聞老志」には、比定地として当地と石巻いしのまき町端郷住吉すみよしをあげるが、「封内名蹟志」では当地に比定されており、「河辺山あり。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報