蝦蟇口(読み)がまぐち

精選版 日本国語大辞典 「蝦蟇口」の意味・読み・例文・類語

がま‐ぐち【蝦蟇口】

〘名〙 口金のついた袋形の銭入れ。がま。がまぎんちゃく。
※東京開化繁昌誌(1874)〈萩原乙彦〉初「爰の勘定は幾許に成る、と云ひつつ覆袖衣(とんび)の躱(かく)しより、蝦蟇口を採出しながら、附を見せなと催促す」

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デジタル大辞泉 「蝦蟇口」の意味・読み・例文・類語

がま‐ぐち【××蟇口】

口金のついた小銭入れ。開いた口がガマの口に似ているのでいう。
[類語]財布金入れ札入れ紙入れ小銭入れ長財布ウォレットパースコインパース

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改訂新版 世界大百科事典 「蝦蟇口」の意味・わかりやすい解説

蝦蟇口 (がまぐち)

口金のついた袋物の総称。古くは小銭入れに巾着を用いていたが,明治初年に輸入ドル入れを模してがまぐちが考案された。口金がガマ(蝦蟇)の口のように開くところから〈がまぐち〉の名がついたもので,初期には蝦蟇巾着西洋胴乱と呼ばれ,肩にかけたり,腰に下げたりした。《東京繁昌記》(1873)に,〈とんびの躱(かくし)よりがま口を取り出しながら,つけを見せなと催促す〉とあり,そのころには一般的となっていたことがわかる。初期の口金は引割口(ひきわりぐち)(からくり口)と称し,溝形の金具を曲げ二つに引き割ったものであった。口金は錺屋(かざりや)の作るシンチュウ製品に限られていたため,高価なものであったが,その後,安価で軽便な溝輪金のものに変わる。かばんの口金製造工業の勃興に伴って増産が進み,明治10年(1877)ころから全国的な流行となり,20年ころには袋物中最高の生産額を示した。当時のものは堅牢度に欠けていたため一時衰退したが,明治25年ころから技術,材料ともに改善され,安定した品質のものが作られるようになった。
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