藤ノ木河岸(読み)ふじのきがし

日本歴史地名大系 「藤ノ木河岸」の解説

藤ノ木河岸
ふじのきがし

[現在地名]上里町毘沙吐

毘沙吐びさど村にあった利根川上流筋にあたるからす川の河岸場。「風土記稿」の同村の項に「河岸場アリ、藤ノ木河岸ト称フ、江戸マテ水路四十六里余」と記される。河岸の成立は、万治二年(一六五九)まゆずみ村の百姓が毘沙吐村地内へ河岸場取立てを願出て、問屋四軒を命じられたのが始まりといわれる。延宝七年(一六七九)頃に洪水で毘沙吐村から黛村へ河岸場を移転するが、両村は以前同様に船稼をするよう申渡されている(藤ノ木河岸問屋文書)。宝暦八年(一七五八)上州山中さんちゆう(現群馬県の神流川上流域)材木を烏川支流の神流かんな川で流し、藤ノ木河岸から筏に組んで江戸まで輸送した(群馬県茂木家文書)。初期には年貢米や領主物資の輸送が中心であったが、農村における商品流通の発展に伴って繁栄し、安永三年(一七七四)の河岸問屋株設定時には四軒が公認され、同四年には上利根十四河岸組合の結成に参加(当時の船問屋は四軒)、無株の問屋や船頭が勝手に輸送に携わらないように申合せた(「上利根十四河岸組合船問屋規定証文」群馬県須賀家文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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