蓼科山
たてしなやま
長野県中東部、八ヶ岳連峰(やつがたけ)の北端にある山。標高2531メートル。富士山型火山で、南方は八ヶ岳連峰に続くが三方は広大な裾野(すその)を形成し、諏訪富士(すわふじ)ともよばれる。八合目あたりまでは富士山型であるが、その上は鐘状火山の形式を示している。頂上は岩石が多く、蓼科神社の奥社がある。富士山、日本アルプス、浅間火山、秩父山塊などが展望できる。山頂付近はハイマツが多いが、山腹はトウヒ、シラビソやダケカンバ、シラカンバなどの樹林である。北東の裾野は東蓼科高原、南の裾野は蓼科高原とよばれる。蓼科温泉や大河原(おおがわら)峠からの登山コースがあり、片道約3時間の行程。
[小林寛義]
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蓼科山
たてしなやま
立科山とも書く。また諏訪富士の別称をもつ。長野県中部,茅野市と立科町の境界にある火山。標高 2531m。複式火山で,中腹以下は複輝石安山岩のコニーデ型,山頂部は角閃安山岩のトロイデ型を示す。かつては山岳信仰の対象で,山頂に蓼科神社がある。山腹には広い高原を展開し,北西から西方,南方にかけては蓼科高原と呼ばれて,八ヶ岳中信高原国定公園の中心をなす観光保養地となっている。
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デジタル大辞泉
「蓼科山」の意味・読み・例文・類語
たてしな‐やま【蓼科山】
長野県中東部、八ヶ岳連峰北端の火山。標高2530メートル。諏訪富士。
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たてしなやま【蓼科山】
長野県中央部,八ヶ岳連峰の北にある標高2530mの火山。古い成層火山の古八ヶ岳の上に,角セン石安山岩の溶岩円頂丘がのり,山頂に直径約100mの火口跡がある。山容から諏訪富士ともいわれ,伊藤左千夫の〈信濃には八十の高山ありと言へど女の神山の蓼科我れは〉はこの山の西側からの美しさを歌ったものである。降水や湧水が豊富なため,農業用水源となって北佐久・諏訪両地方の水田をうるおしている。蓼科山の南西麓,標高1200~1800mの緩斜面を蓼科高原といい,滝ノ湯,小斉(こさい),親湯(しんゆ)などの蓼科温泉郷や,その南の渋川に沿った奥蓼科温泉郷,ともに農業用の人造湖である蓼科湖と白樺湖などを中心とした一大観光地となっている。
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蓼科山
たてしなやま
茅野市と北佐久郡との境の山。八ヶ岳火山列の最北端にあるコニトロイデ式火山。北八ヶ岳では天狗岳(二六四五メートル)に次いで高く、標高二五三〇メートルである。諏訪側からは独立峰としてながめられる。頂上部は円形で、中央は周辺よりおよそ一〇メートルくぼんでおり、周囲約六〇〇メートルで、角閃石を含む輝石安山岩の一面の岩海となっている。頂上近くの傾斜は三〇度以上の急峻で這松帯をなし、八〇〇メートル下った付近から針葉樹のクロフ帯となっている。「信濃奇勝録」には「立科山」として次のように記す。
<資料は省略されています>
頂上にある神祠は蓼科神社奥社で、「三代実録」元慶二年(八七八)九月一六日条に、「授(中略)信濃国正六位上蓼科神(中略)並従五位下」と叙位のことが記されているのが文献上の初見である。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報