葛煮(読み)クズニ

デジタル大辞泉 「葛煮」の意味・読み・例文・類語

くず‐に【葛煮】

葛粉を用いた煮物材料に葛粉をまぶして煮る方法と、仕上げに水で溶いた葛粉を加えてとろみを出す方法とがある。

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精選版 日本国語大辞典 「葛煮」の意味・読み・例文・類語

くず‐に【葛煮】

〘名〙 肉や野菜を、水で溶いた葛粉を加えて煮ること。また、その料理
※談義本・根無草(1763‐69)前「豆腐のくづ煮に干大根のはりはりで済ませば、蜆(しじみ)はいらぬと」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「葛煮」の意味・わかりやすい解説

葛煮
くずに

葛粉かかたくり粉をまぶして煮る煮物をいう。このやり方をすると材料のうま味が包まれて逃げず、柔らかさを保つことができる。石川県の郷土料理じぶ煮は、古くからある葛煮である。1643年(寛永20)版の『料理物語』のなかに、じぶ煮とは葛を加えて煮るためにジブジブという音を出すとある。石川県のじぶ煮は渡り鳥ツグミを用いるのを特色としたが、いまはツグミが禁鳥になったので、カモアイガモなどを用いる。葛煮の材料には、鳥類のほかにエビハマグリ、キス、イカ、その他の白身魚が用いられる。植物性材料ではトウガンの葛煮がある。湯葉の薄葛仕立てもあるが、この種のものは葛煮、じぶ煮とはいわず、葛汁の名が一般的である。

多田鉄之助


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