聞出(読み)きこえいず

精選版 日本国語大辞典 「聞出」の意味・読み・例文・類語

きこえ‐い・ず ‥いづ【聞出】

[1] 〘自ダ下二〙 (「きこえ」は世に広く伝わるの意) 外部にもれ聞こえる。世間うわさになる。人々の耳に入る。
落窪(10C後)一「女君は、〈略〉おほかたきこえ出ば」
※浜松中納言(11C中)五「今きこえ出給なん。いと跡はかなう思ふべきことにもあらず」
[2] 〘他ダ下二〙 (「いいいず(言出)」の謙譲語)
① 胸の内にあることなどを口に出して申しあげる。意中を訴え申しあげる。秘密などを公然とお話しする。歌などを詠んでお耳に入れる。
源氏(1001‐14頃)若菜下「きこえいづる人人、事にふれて多かれど、おぼしも定めず」
狭衣物語(1069‐77頃か)二「畳紙(たたうがみ)のことをきこえいでたるに、胸つぶれぬ」
② 重い口を開いて、返事などを申しあげる。
※落窪(10C後)一「御文侍るめり。御返りきこえいで給へ」

きき‐だ・す【聞出】

〘他サ五(四)〙
① 聞いて秘密などをさぐり出す。
※天草本平家(1592)一「シャメン アラウ トモ qiqi(キキ) dasananda(ダサナンダ) ニ ヨッテ」
俳諧続猿蓑(1698)上「いづくへか後は沙汰なき甥坊主〈里圃〉 やっと聞出す京の道づれ〈馬莧〉」
② 聞くことをはじめる。聞きはじめる。
③ においをかいでそれと知る。
浮世草子西鶴織留(1694)三「是聞分くる鼻にて食(めし)のこげるを聞出し」

きき‐いだ・す【聞出】

〘他サ四〙
① 秘密をさぐって聞き知る。さぐり知る。聞きだす。ききいず。
※芸大本平家(13C前)一「おのづから平家の事あしざまに申ものあれば、一人ききいださぬ程こそありけれ」
② 聞きはじめる。聞くことをはじめる。
③ においをかいでそれと知る。

きき‐い・ず ‥いづ【聞出】

〘他ダ下二〙 =ききいだす(聞出)
※落窪(10C後)三「此の家の券失ひ給へ侍りて、尋ねさせ侍れど、いまだ聞いで侍らず」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android