聖福寺(福岡市)(読み)しょうふくじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「聖福寺(福岡市)」の意味・わかりやすい解説

聖福寺(福岡市)
しょうふくじ

福岡市博多(はかた)区御供所町(ごくしょまち)にある臨済(りんざい)宗妙心寺派の寺。山号は安国山。宋(そう)から帰国した栄西(えいさい)が、1195年(建久6)源頼朝(よりとも)から寺領の寄進を受けて建立、日本における初期の禅宗興隆の根拠地となった寺。元久(げんきゅう)年間(1204~06)後鳥羽(ごとば)上皇から「扶桑(ふそう)最初禅窟(くつ)」の勅額を下賜された。室町時代には臨済宗十刹(じっさつ)の第三位となり、代々、高僧住持となった。その後たびたび兵火によって焼かれたが、1589年(天正17)小早川隆景(こばやかわたかかげ)が再興。その後も再建修築を繰り返したが、山門、仏殿、本堂が直線上に並ぶ伽藍(がらん)は初期臨済宗の景観を伝えるものとして国史跡に指定されている。独特の禅画で大衆に禅の極致を説いた仙厓義梵(せんがいぎぼん)(1750―1837)はこの寺で生涯を過ごした。現在は妙心寺派の専門道場となっている。寺宝に中国禅僧大鑑禅師画像、高峰断崖中峰和尚(こうぼうだんがいちゅうぼうおしょう)像、銅鐘(朝鮮鐘)などの国重要文化財のほか、多くの文化財がある。

菅沼 晃]


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