聖体行列(読み)せいたいぎょうれつ(英語表記)eucharistic procession

改訂新版 世界大百科事典 「聖体行列」の意味・わかりやすい解説

聖体行列 (せいたいぎょうれつ)
eucharistic procession

中世末期のドイツから広まり,キリスト教国の民衆に歓迎され,教会外に繰り広げられた典礼行事。ドイツ語ではFronleichnamsprozession。ミサの中で聖別されたパンをキリストとして目で仰いで礼拝しようとした大衆信心は,聖別後聖体を高く挙げる聖体奉挙がパリで1200年ころ始まってから,しだいに典礼に導入されるようになり,聖体をミサ後に容器に入れて会衆に展示する聖体顕示,その前でひざまずいて祈り黙想する聖体礼拝,それをもって会衆を祝福する聖体降福式,さらにその聖体を奉持して町の中を練り歩く聖体行列ケルンでは1274年以来)でその最高潮に達した。行列の途中,四つの広場に設けられた野外祭壇を訪れて聖体を顕示し,四つの福音をそれぞれ四つの異なった方角に向かって朗読し,共同祈願と聖体による祝福を行って信仰を高揚するのが基本であるが,地方によって,また時代によってさまざまな要素が加わり,聖体を車や船に乗せたり,旗や聖像・聖画を持ち歩いたりするなどの風俗習慣ができた。
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百科事典マイペディア 「聖体行列」の意味・わかりやすい解説

聖体行列【せいたいぎょうれつ】

ドイツ語Fronleichnamsprozession,英語eucharistic processionなどの訳で,カトリック教会聖体に対する信心業の一つ。通常,十字架先頭侍者白衣の少年少女が続き,次に移動天蓋(てんがい)の中央に司祭が聖体顕示台を捧持し,その後に修道士,信徒らが従う。中世末期のドイツから広まった風習
→関連項目聖体祭

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