細山田村
ほそやまだむら
[現在地名]串良町細山田
串良郷有里村の北にある。串良川が北西から南東に流れ、北西の同川上流は高隈郷下高隈村（現鹿屋市）、北東から東は日向国諸県郡大崎郷野方村（現大崎町）、南東は串良郷岩弘村（現東串良町）、集落と耕地は同川谷間の低地にあり、南部から西側は笠野原台地が占める。
串良川北岸の城山（じょやま）の残る生栗巣・北原（きだはい）など一帯は肝付氏庶流北原氏の拠点とされる。生栗巣の北原城跡は西面に串良川をめぐらし、自然の水堀を利用した標高約九〇メートル、周囲約二・五キロの山城で、城跡付近には寺跡と思われる墓石や殿墓と俗称される五輪塔数十基の残る個所もある。北原氏はのちに日向国真幸院（現宮崎県えびの市）に進出していく。一方、元徳三年（一三三一）六月の建部清武申状案（禰寝文書）には「細山田右衛門入道々念子息犬王丸」の名がみえ、これは細山田の在地領主とみられる。同申状案によれば建部（禰寝）清武は島津庄大隅方曾小河村（現国分市）が犬王丸および雑掌兼尚（肝付一族と考えられる）らにより押領されたと訴えている。観応二年（一三五一）七月二五日夜楡井頼仲与党の細山田三郎らが大姶良城（現鹿屋市）に忍び入った（同年八月日「禰寝清種軍忠状」池端文書）。文和三年（一三五四）三月日の禰寝清成・同清有軍忠状（禰寝文書）には、同二年四月二八日・二九日の合戦では禰寝氏の若党細山田彦八郎信光が負傷したことがみえ、細山田氏のうちには畠山直顕方の禰寝氏に属するものもいたことがわかる。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
