納屋・魚屋(読み)なや

精選版 日本国語大辞典 「納屋・魚屋」の意味・読み・例文・類語

な‐や【納屋・魚屋】

〘名〙
① 室町時代、海産物を保管するために港町の海浜に設けられた倉庫。→納屋衆
② 江戸時代、河岸に建てられた商業用の倉庫。
※浮世草子・伊達髪五人男(1706か)三「近い頃、立ち竝びし南堀江の一景、〈略〉納屋の燈火、行く水に輝き」
③ 屋外に建てられた物置小屋。
浄瑠璃今宮心中(1711頃)上「納屋(ナヤ)にあぶらのうすを引」
④ 農家の付属建物。農具や肥料を収容する小屋であるが、大きなものは農作物の保管、雨天の際の作業場にもあてられた。灰屋。
草枕(1906)〈夏目漱石〉一二「裏の納屋の方で、鶏が大きな声を出して」
漁村で、漁業用具などを格納する小屋。また、網元がその下で働く若者を起居させるために提供した建物または部屋。転じて、飯場(はんば)
※談義本・労四狂(1747)下「此浦に納(ナ)屋といふを立て網引する青野平三といふ者ありしが」
⑥ 魚をあきなう店。魚問屋。
※和訓栞(1777‐1862)「なや 魚肆をいふ 魚(ナ)屋の義也」
[補注]分けにくいので「納屋」「魚屋」を一項として扱ったがあるいは別語か。

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