魚屋(読み)さかなや

精選版 日本国語大辞典 「魚屋」の意味・読み・例文・類語

さかな‐や【魚屋】

〘名〙 食用魚類その他海産物を売る人。また、その店。さかなだな。
浮世草子好色一代男(1682)八「台所に、大らうそく、明りを走る、八百屋、肴屋(サカナヤ)、いさみをなして」

うお‐や うを‥【魚屋】

〘名〙 魚介類を売る店。さかなや。
大乗院寺社雑事記‐康正三年(1457)二月二五日「次郎五郎 今辻子 ウヲヤ」

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デジタル大辞泉 「魚屋」の意味・読み・例文・類語

とと‐や【魚屋】

高麗こうらい茶碗の一。赤土の上に青茶色のうわぐすりをかけたもの。名の由来は、商人「ととや」が所持していたからとも、千利休が魚屋の店先で見いだしたからともいう。斗々屋

さかな‐や【魚屋】

食用の魚類や海産物を売る店。また、売る人。魚店

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「魚屋」の意味・わかりやすい解説

魚屋
さかなや

生魚、塩干し魚や貝類を商う店。11世紀に、自家でとった獲物を町で振(ふり)売り(担(にない)売り)をしたのが原型である。専業化は13世紀からで、都市においては魚棚(うおだな)や魚座で店売りが行われた。市(いち)では振売りのほか、魚を商う露天の店もみられるようになった。近世の17世紀、魚屋は城下町や在町に店を構え、魚市場(江戸の魚河岸(うおがし)、大坂の雑喉場(ざこば)など)で仕入れた魚貝類を店売り、または担売りした。担売りとは、盤台や籠(かご)を天秤棒(てんびんぼう)で担って呼び声をあげて売り歩くことをいう。魚問屋には、肴(さかな)問屋と塩干し魚問屋があり、彼らは船便のよい地域に集まり、魚市場を運営した。

 一方、漁師の妻は夫の漁獲物を近在の町村で売り歩いたが、これは現在も同じ。魚貝類の流通システムは、仕出(しだし)屋を兼ねる魚屋が現れたほかは、19世紀後半から近代に至るまで基本的に変わりはない。

遠藤元男


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