紅葉狩(行事・風習)(読み)もみじがり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「紅葉狩(行事・風習)」の意味・わかりやすい解説

紅葉狩(行事・風習)
もみじがり

秋の紅葉(こうよう)の季節に、野山に出てその美しさを観賞する行事・風習。紅葉や黄葉を観賞することは、『万葉集』以来の文献に記述があり、中世にもそのために行幸の行われた記事がある。行事としての紅葉狩は、もっぱら宮廷貴族の優雅な遊びであった。江戸時代以降、ようやく庶民の間にも広まり、江戸では上野、根津権現(ねづごんげん)山、浅草の正灯(しょうとう)寺、品川の海晏(かいあん)寺や東海寺などが、紅葉の名所として著名になった。熊本県の阿蘇(あそ)神社や香川県の金刀比羅宮(ことひらぐう)では、秋に紅葉を神前に供える紅葉(こうよう)祭がある。京都の嵐山(あらしやま)で車折(くるまざき)神社の神船を浮かべての紅葉見物や、大阪府箕面(みのお)などで紅葉のてんぷらを売るなど観光行事として始められたものも多い。

[井之口章次]


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