紀州街道（読み）きしゆうかいどう

日本歴史地名大系

紀州街道
きしゆうかいどう

• 大阪府：総論
• 紀州街道

大坂三郷長（なが）町九丁目（現浪速区）の南端、鼬（いたち）川に架かる今宮（いまみや）橋を起点とし、今宮村（現同上）、天下茶屋（てんがちやや）（現天王寺区）と南下、住吉（すみよし）村（現住吉区）に至る。その後安立（あんりゆう）村（現住之江区）を通り大和川に架かる大和橋を渡り、堺の町中に入る。町を南北に縦貫する紀州街道を、堺町では大道（だいどう）とよぶ。堺の南（みなみ）橋から湊（みなと）村（現堺市）に出て、宇多大津（うだおおつ）村（現泉大津市）を経て岸和田城下（現岸和田市）に達し、貝塚寺内（かいづかじない）（現貝塚市）、瓦屋（かわらや）村・佐野（さの）村（現泉佐野市）を通り、信達（しんだち）宿（現泉南市）、山中（やまなか）宿（現泉南郡阪南町）、紀州山口（やまぐち）宿（現和歌山市）を通過しながら、和歌山城下（現和歌山市）に達する。街道の大部分は和泉平野の平坦部であるが、山中宿から和泉山脈の山間部に入り、雄（お）ノ山（やま）峠（現和歌山市）の北で紀泉国境を横断する。なお瓦屋以南は中世の熊野街道と同じ道筋である。

紀州街道はもちろん五街道ではなく、主要な脇往還でもなく、まったく地方的な街道であった。しかし、元禄一四年（一七〇一）から和歌山藩主の参勤交代や御上使の通行の道筋であったし、紀州と京坂地域を結ぶ主要な街道として、人馬の往来は絶えずあった。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」