糸切(読み)いときり

精選版 日本国語大辞典 「糸切」の意味・読み・例文・類語

いと‐きり【糸切】

〘名〙
ろくろで成形した器をろくろ台から離すとき使われたより糸や藁稭(わらみご)渦状の跡。
※利休客之次第(1587)「茶入の口つき、内の体、土くすり、くすりとまり、いときりのやうす、不残見て」
狂歌・近世商賈尽狂歌合(1852)「あやめ団子。あやめあやめ〈あやめ〉、いときり、菖蒲だんご」
④ 料理で、野菜などを糸のように細く切ること。そのように切ったもの。また、糸を巻いて切ること。

いとっ‐きり【糸切】

〘名〙 (形動) 最後。できるかぎり。せいぜい
※迂鈍(18C‐19Cか)仕形猿「『おあをむき被』『こうか』『もそっと』〈略〉『こうか。もう是が糸っ切だ』」
[補注]陶器の底を「いときり」というところから転じたとも、また、副詞「いと」に最後の意の名詞「きり(切)」が複合した語からともいう。

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