筑羅(読み)チクラ

デジタル大辞泉 「筑羅」の意味・読み・例文・類語

ちくら【×筑羅/××

日本朝鮮半島との境にある巨済島古称涜盧とくら」の音変化とも、「筑」は筑紫、「羅」は新羅しらぎのことともいう》日本とも中国ともつかないこと。どっちつかず。筑羅が沖。
「頭は日本、胴は唐との襟ざかひ、―手くら一夜検校」〈浄・博多小女郎

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精選版 日本国語大辞典 「筑羅」の意味・読み・例文・類語

ちくら【筑羅】

〘名〙 (朝鮮対馬との間にある巨済島の古称である「涜羅(とくら)」の変化した語という。また、「筑」は筑紫、「羅」は新羅の意からともいう)
① 朝鮮と日本との潮境にあたる海。また、日本の海の果てを漠然という。ちくらが沖。
※俳諧・東日記(1681)乾「珊瑚珠や筑羅の夕日遠霞〈言扇〉」
② 言語・風俗などが中国とも日本ともつかないこと。和漢ごちゃまぜになっていること。また、でたらめなこと。ちくらが沖。
随筆・南留別志(1736)「日本紀の文もちくらなり。仏経の文もちくらなり。儒書に点つけてよむもちくらなり」
③ 薄暗いこと。
※歌舞伎・当龝八幡祭(1810)三幕「イヤモウ、ちくらになってきた」

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