第三勢力(読み)ダイサンセイリョク(英語表記)third force

翻訳|third force

デジタル大辞泉 「第三勢力」の意味・読み・例文・類語

だいさん‐せいりょく【第三勢力】

対立する二大勢力の間にあって、いずれにも属さない第三の中立的勢力。
[類語]第三極

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精選版 日本国語大辞典 「第三勢力」の意味・読み・例文・類語

だいさん‐せいりょく【第三勢力】

〘名〙 対立する二大勢力の間にあって、中間的な立場をとる政治勢力。一九四七年、フランスのレオンブルムが組閣にあたり、社会党人民共和派急進社会党中間勢力を称したのに始まる。国際的には、第二次世界大戦後の世界情勢の中で、資本主義陣営にも社会主義の陣営にも属さない非同盟の政治勢力をいった。
ベナレスのあたり(1955)〈竹山道雄〉「ネールはたしかに理想主義者なのだろう。〈略〉しかし、その理想的な第三勢力の主張空理空論ではなく」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「第三勢力」の意味・わかりやすい解説

第三勢力
だいさんせいりょく
third force

国内政治において,本来は右翼左翼,急進と保守などの2つの勢力が存在する場合,中間的な立場を取る政治勢力を意味したが,その後この用語は一般化されて,共産主義勢力と資本主義勢力に対する中間的勢力としての社会民主主義勢力を意味するようになり,さらに国際政治においては,第2次世界大戦後の冷戦構造のもとで米ソいずれの陣営にも属さない非同盟主義諸国をさすようになった。 1947年 11月,フランスの R.シューマンが組閣の際,新内閣は第三勢力に基礎をおくと言明し,フランス共産党とフランス国民連合の左右両勢力を排除して社会党,人民共和派,急進社会党を中心とする中間勢力を結集したのが,第三勢力の語の起源。第2次世界大戦後の冷戦体制下で,1950年代後半から 60年代前半にかけて J.ネルーインド,G.ナセルのアラブ連合,スカルノインドネシアなどの主としてアジア,アフリカ,ラテンアメリカ諸国にチトーのユーゴスラビアなどを加えた諸国は,米ソ両陣営に対して中立的立場に立ち,国際緊張緩和と世界平和を主張し,第三勢力として国際政治において積極的役割を果した。しかしソ連・東欧革命に伴う冷戦体制の崩壊は,国際政治における第三勢力の存在理由を一挙に薄弱にする結果をもたらし,第三勢力のにない手であった発展途上諸国の発言力を著しく弱める要因となった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「第三勢力」の意味・わかりやすい解説

第三勢力
だいさんせいりょく
third force

語源的には米ソに対するヨーロッパの地位確立を目ざす中道路線を意味するが、より一般的には第二次世界大戦後の冷戦状況に抗して米ソいずれの陣営にも属さない非同盟中立主義の諸国をさす。ネルーのインド、ナセルのアラブ連合、スカルノのインドネシアなどのアジア・アフリカ諸国は、1950年代中葉から60年代前半にかけて、独立ナショナリズムの高揚を背景に連帯し、冷戦的緊張の緩和と世界平和の実現を推進する役割を担った。1954年の中印間「平和五原則」や翌55年の第1回「アジア・アフリカ会議」は、これら第三勢力の象徴的成果である。しかし、60年代以後(1)第三勢力内部の利害対立の表面化、(2)いわゆる多極化の進展といった状況変化のため、第三勢力としての結束した行動はしだいに背景に退いていった。70年代中葉に中国が提唱した「第三世界論」は、イデオロギーでなく国力に注目した第三勢力概念の一変種である。

[黒柳米司]

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百科事典マイペディア 「第三勢力」の意味・わかりやすい解説

第三勢力【だいさんせいりょく】

政治的に対立する2大勢力の中間にあって双方に影響力をもつ勢力。1947年フランスの人民共和派が自称して以来,左右両派に属さない政治勢力をいうようになった。米ソ対立の中でインドやアラブ諸国などいわゆる非同盟諸国が第三勢力と自称したこともある。→非同盟諸国会議

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旺文社世界史事典 三訂版 「第三勢力」の解説

第三勢力
だいさんせいりょく

第二次世界大戦後に現れた,米ソの二大陣営のどちらにも属さず,積極的中立を主張する勢力
インドを筆頭とする,アジアの新興諸国のことをさす。これらの国ぐには,1950年代後半まで,平和を推進する大きな勢力であった。

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